前回の「はずかしくないシャフトの選び方 1 まずはおさえるアイアンシャフトの種類と違いの基礎知識」で、何となくアイアンのシャフトタイプを頭に入れたら、次は製品ごとのアイアンシャフトの特徴を暗記する時間です。
ムズカシイことはなしにして、明日から使えるざっくりマニアック風な感じでご紹介。
まずは、日本市場におけるアイアンシャフトの2大巨頭です。
トゥルーテンパー社
米国で100年以上の歴史をもつシャフトメーカーの老舗トゥルーテンパー社。日本市場ではダイナミック・ゴールド「DG-S200」のシェアが高く、発売から40年以上経っても愛用者の多いキング・オブ・スチールシャフト。
日本シャフト社
横浜市金沢区に本社がある日本シャフト社。1959年(昭和34年)に設立された50年以上の歴史をもつ企業。アイアン用軽量スチールシャフト「N.S.PRO 950GH」は、発売から20年を迎え累計4.000万本を超えるヒット商品です。 主力のシャフトは日本シャフト駒ヶ根工場で製造される「Made in Japan」のシャフト。
これまで日本市場では、トゥルー・テンパー社「DG-S200」と、日本シャフト社「N.S.PRO 950GH」が、メーカー標準シャフトとして装着されてる商品が多く、世間のアマチュアゴルファーさんはスチールシャフトの使用率が高いことがうかがえます。
アイアンシャフト選び DG-S200とN.S.PRO 950GH
シャフトのスペックは、さまざまな数値から確認する方法がありますが、ざっくり「どんなスペックをおさえておけばよいのか?」を3つのポイントでご紹介。
参考シャフトとして「DG-S200」と「N.S.PRO 950GH」のスペックを見てみましょう。
メーカー | 製品名 | 重量(g) | フレックス | 調子 |
トゥルー・テンパー | DG-S200 | 129 | S | 元 |
日本シャフト | NS PRO 950GH | 98.0 | S | 中 |
アイアン用スチールシャフトだけではなく、ウッド系シャフトを選ぶ時にも、おさえておきたい3つのスペックです。ちょっとした重さやシャフトメーカーによるフレックスの違い、スイングが確立してくると”しなり”のポイントが感覚的に分かってきますので、より自分のスイングに合うシャフトを絞りこめるようになってきます。
DG-S200とNS PRO 950GHの特徴 | ||
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DG-S200 | NS PRO 950GH | |
重量感がある | 軽快に振れる | |
中高弾道 | 高弾道 | |
安定させたい | 飛ばしたい |
ざっくりこの辺が、スチールシャフトの王道ともいえる「DG-S200」と「N.S.PRO 950GH」の違いです。この2つのスチールシャフトが、これまで標準シャフトとして多く装着されていましたが、時代も変わりスチールシャフトの種類が増えたことにより、より自分のフィーリングに合うシャフト選びができるようになっています。
アイアンシャフト選び 標準装備に多いラインナップ
最近はメーカーさんのおかげで標準シャフトもラインナップが多くなり、アマゴルファーさんのシャフト選びも幅が広がっています。
主要スチールシャフト ラインナップ | |||
---|---|---|---|
トゥルーテンパー社 | |||
モデル | 重量(g) | フレックス | 調子 |
DG | 129 | S200 | 元 |
DG-120/105 | 120-118g 105-103g |
S200 | 元 元 |
DG-95/85 | 95-95g 85-87g |
S200 | 中元 中元 |
DG-120/95 VSS | 120-121g 95-96g |
S200 | 元 中元 |
DG-AMT | 105~129 | S200 | 元 |
AMT TOUR WHITE | 105~129 | S200 | 元 |
日本シャフト社 | |||
製品名 | 重量(g) | フレックス | 調子 |
N.S.PRO 950GH | 98.0 | S | 中 |
N.S.PRO 950 neo | 98.0 | S | 中 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR105 |
106.5 | S | 元 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR115 |
118.5 | S | 元 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR120 |
114 | S | 中元 |
N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125 |
128.5 | S | 元 |
どれも似たような商品名なので、初心者の方は覚えづらいと思いますが、商品ごとの「重量」「フレックス」「調子」はおさえておきたいポイントです。
さらに、現在使用しているスチールシャフトから、より自分に合うシャフトを選ぶ目安として、シャフトの『振動数』から硬さを絞ってみるとより選びやすくなると思います。
主要スチールシャフトの振動数
一般的には、先調子と元調子が同じ数値の時、元調子の方が手元の剛性が高いので硬く感じます。
振動数の数値が小さいシャフトは、手元側のしなりを感じやすいので切り返しの間が作りやすく、コックがほどけやすい方や力みやすい方におすすめです。
数値を公表しているメーカーもあれば、していないメーカーもあるので、あくまでも大まかにシャフトの硬さを選ぶ目安になりますが、ご使用しているシャフトを替えたい時に、「重量」や「調子」と一緒に『振動数』なども知っておくとより絞りやすくなります。
例えば、「DG-S200は元調子なのに手元が硬い。」と感じてる方は、手元の『振動数』は硬いので、スイングやパワーに合ってない可能性もあります。
主要スチールシャフト 振動数の目安 | ||||
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トゥルーテンパー社 | ||||
モデル | 重量(g) | フレックス | 振動数 | 調子 |
DG | 129 | S200 | 338 | 元 |
DG-120/105 | 120-118g 105-103g |
S200 | 334 320 |
元 元 |
DG-95/85 | 95-95g 85-87g |
S200 | 294 290 |
中元 中元 |
DG-120/95 VSS | 120-121g 95-96g |
S200 | 334 294 |
元 中元 |
DG-AMT | 105~129 | S200 | 330 | 元 |
AMT TOUR WHITE | 105~129 | S200 | 330 | 元 |
日本シャフト社 | ||||
製品名 | 重量(g) | フレックス | 振動数 | 調子 |
N.S.PRO 950GH | 98.0 | S | 323 | 中 |
N.S.PRO 950 neo | 98.0 | S | 329 | 中 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR105 |
106.5 | S | 326 | 元 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR115 |
118.5 | S | 328 | 元 |
N.S.PRO MODUS3 TOUR120 |
114 | S | 318 | 中元 |
N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125 |
128.5 | S | 340 | 元 |
『振動数』が大きい(硬め)からヘッドスピードが必要という訳ではないので、しっかりハンドファースト&ボディーターンで打てる方は、『振動数:硬め』でアイアンの精度をさらに高めてみるのもおすすめです。
軽量でかなり硬いシャフトなど、シャフトごとに特性も違うので、最終的には自分のフィーリングに合う『ベストシャフト』を絞っていきましょう。
初心者の方はアイアンのシャフト選びで、「中調子」の方がやさしいと教わることが多いと思います。練習して「ボールをとらえる感覚」や「力の出し方」が分かってくると、弾道が左右に暴れだし「元調子」に替える人も多いので、「中調子」のシャフトで”グニャ”と先端がやわらかく感じた方は、シャフトを替える時期かもしれません。
アイアンシャフト選び 主要シャフトのフィーリング
アマゴルファーさんのシャフト選びは、ヘッドスピードだけで選ばず、自分のスイングに合う「重量」「調子(しなりのポイント)」や、振動数などを含めた、全体の振りやすいフィーリングを選んで、スイングの「調子」を上げていきたいところです。
トゥルー・テンパー社
Dynamic Gold S200
DG-S200 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:335cpm |
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元調子 | |||||||
※手元側は元々が硬いので、シャフトのしなりは小さくなります。 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
DG-120/105
これまでも、ダイナミックゴールドの軽量モデルは発売されていましたが、今モデルはより本家「DG-S200」のフィーリングに近づき、国内では元調子の「DG-120/105」、中元調子の「DG-95/85」がラインナップされています。
「DG-120/95」には、振動吸収システム「VSS(バイブレーション・スプレッション・システム)」が搭載された、『DG-120VSS/95PRO VSS』がラインナップされ、ミスヒット時の不快な衝撃・振動を大幅に吸収しています。(衝撃吸収:120VSSは71%、95VSSは56%)
DG-120 S-200 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:334cpm |
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元調子 | |||||||
※手元側は元々が硬いので、シャフトのしなりは小さくなります。 | |||||||
振り感 S-200 | |||||||
弾き感 S-200 | |||||||
推奨ヘッドスピード (DG-120) | |||||||
DG-105 S200
DG-105 S-200 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:320cpm |
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元調子 | |||||||
※手元側は元々が硬いので、シャフトのしなりは小さくなります。 | |||||||
振り感 S-200 | |||||||
弾き感 S-200 | |||||||
推奨ヘッドスピード (DG-120) | |||||||
Dynamic Gold AMT
DG-AMT S200 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:330cpm |
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元調子 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
AMT TOUR WHITE
DG-AMT S200 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:330cpm |
日本シャフト社
N.S.PRO 950GH-S
N.S.PRO 950GH-S | |||||||
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#7参考スペック 振動数:323cpm |
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中調子 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
N.S.PRO 950 neo
N.S.PRO 950 neo-S | |||||||
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#7参考スペック 振動数:329cpm |
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中調子 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
N.S.PRO MODUS3 TOUR105-S
N.S.PRO MODUS3 TOUR105-S | |||||||
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#7参考スペック 振動数:326cpm |
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元調子 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
N.S.PRO MODUS3 TOUR120-S
N.S.PRO MODUS3 TOUR120-S | |||||||
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#7参考スペック 振動数:318cpm |
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中元調子 | |||||||
振り感 | |||||||
弾き感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125-S
N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:340cpm |
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元調子 | |||||||
振り感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
N.S.PRO MODUS3 TOUR130-S
N.S.PRO MODUS3 TOUR130 | |||||||
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#7参考スペック 振動数:363cpm |
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中調子 | |||||||
振り感 | |||||||
推奨ヘッドスピード | |||||||
自分の体重とシャフトの重量もチェック
日本仕様のアイアンに標準シャフトとして多く装着されてる「DG-S200」「N.S.PRO 950」、最近では「MODUS3」や「N.S.PRO 950 neo」も増えましたが、どれを使用しても「しっくりこない」と言われる人も少なくありません。
「シャフト重量」や「クラブ総重量」は大事なスペックですが、なかなか合うシャフトが見つからない方は、『自分の体重とマッチしてるか?』を見直してみるのもおすすめです。
たとえば、身長170cm/体重60kgはやや体重が軽い人です。メーカー標準シャフトから選ぶ時は、この辺のシャフトを使用していると思います。
身長170cm/体重60kg | ||||
---|---|---|---|---|
メーカー | 製品名 | フレックス | 重量(g) | 調子 |
トゥルー・テンパー | DG-S200 | S | 129 | 元 |
日本シャフト | NS PRO MODUS3 TOUR 120 |
S | 114 | 中元 |
どちらを使用しても「しっくりこない人」は体重に対してシャフト重量が重い可能性もあり、シャフトにスイングを合わせてしまい、気がつかないうちにスイングリズムが狂い、弾道が安定しづらくなっている事も考えられます。
そんな時は、いつでも同じタイミングで振れるように、体重とシャフト重量を最適に組むカスタムシャフト例。
カスタム例1 身長170cm/体重60kg | ||||
---|---|---|---|---|
メーカー | 製品名 | フレックス | 重量(g) | 調子 |
日本シャフト社 | NS PRO MODUS3 TOUR 105 |
R | 103 | 元 |
スチールシャフトでしたら「DG-S200」や「MODUS3 TOUR 120(S)」から『MODUS3 TOUR 105(R)』のカスタムシャフト。
重量をやや軽くしながら、手元のしなりを感じながらスピード感もあり、打ち遅れのリズムを少なくさせながら、ボールに体重が乗りやすくなるので、体重が軽めの人も強い弾道が打ちやすくなります。
カスタム例2 身長170cm/体重60kg | ||||
---|---|---|---|---|
メーカー | 製品名 | フレックス | 重量(g) | 調子 |
三菱レイヨン社 | OT Iron 95 | S | 99 | 中 |
アイアン用カーボンシャフトの中でも、スチールに近い感覚の「三菱レイヨンOT Iron」。
ラインナップも豊富で、身長170cm/体重60kgの”やや体重が軽い人”でHS40m/s前後でしたら、「100g弱」のシャフトが”しっくりくる”スペックなので、ヘッドを装着した「総重量」を見ながら候補にいれておきたいシャフト。
標準体重よりもやや重量のある人はシャフトを重くして、打ち急ぎや手打ちを少なくさせながら「体重を活かした」アイアンショットが打ちやすくなると思います。
体重に合うシャフト選びは、シャフトにスイングを合わせなないことがメリットですが、感覚がわかる経験も必要なので、安めの中古クラブでテストしながら試してみるのがおすすめです。
いづれにしても、気持ち良く振りきれるシャフトがベスト
アマゴルファーさんは「はずかしくないシャフト選び」を目指しながらスコアアップすることが目標です。
性別、年齢問わず、「速くビシッと振りたい方」や「ゆっくりしっかり打ちたい方」など、自分の気持ち良いフィーリングで振れるクラブが最適です。
アベレージの方は、なるべく重さを感じながら、ゆっくり振り切れるクラブがおすすめですが、色々とスイングが分かってくると、自分に合うシャフトやヘッド選びも、ゴルフの楽しさのひとつです。
アイアンはさまざまな番手を使い「狙った距離」を打つクラブなので、ムリして速く振るよりはいつも同じ感覚で振れ、ウッド系も同じフィーリングで打てるクラブ/シャフト選びがポイントです。
初心者の方のスチールシャフト選びでは、ハードスペックではありますが、まずは”基準”となる「DG-S200」や、もう少し打ちやすい「NS PRO 950 neo」を中古から探して使用してみるのがオススメで、スイングが作りやすい”軽すぎない適度な重さ”の見極をチェック。
そして、スイングは自分なりに良いのに、いつもアイアンショットが安定しない人は、一度、いや二度三度、シャフト重量と硬さの見直しをするのが上達への近道かも?しれません。
安定した弾道を求めるなら元調子。それでもよい球が打てなければ自分の調子が悪いと言う事。
今日はそれを覚えて帰りましょう。
※スペック、使用感は当サイト調べです。