好スコアを目指す上でとても重要なパット数。
スコア80ならパット数の目安は「32」、90の目安は「36」、100切りを目指すなら「40」と、スコアの約4割がパット数とも言われ、ちょっとしたミスが続くとスコアにも大きな影響を与え、いかに3パットをなくし”しのぐ”かがスコアメイクのカギにもなります。
脱初心者、脱100切りを目指すアマゴルファーさん方が、周りの一般ゴルファーさんから「クスッ」と笑われないためにも、違いの分かるパター選びの基礎を覚えていただくのが今回のミッションです。
フェースバランスとトゥヒールバランス
さまざまな種類のパターが発売されていますが、大まかに分類するとまっすぐ引いてまっすぐヘッドを送り出す「フェースバランス」と、イン・トウ・インの軌道でボールをヒットして打つ「トゥヒールバランス」に分かれ、自分のストロークの好みとパターの特性を合わせておくのがパター選びの基本です。
テーブルなどにヘッドだけ浮かせてパターを置いた時、フェース面上を向くパターは「フェースバランス」で、フェース面が斜めを向くパターは「トゥヒールバランス」になります。
フェースバランスパターの特徴
フェースが真上を向くパターや、ほんの少し斜めになるパターは「フェースバランス」と呼ばれるパター。
テークバックからフォローまでフェースの開閉を行わず、ヘッドをまっすぐストロークしたい方に向いています。
フェースバランスの主なネック形状
ネック形状の違いでボールのつかまり度合いや、ストローク中のフェースの開閉度合いが変わってきます。
フェースバランスのネック形状は、ヘッドをストレートにだしやすい「センターネック」、「ベントネック」が多くなっています。
センターネック
ヘッドの真ん中からまっすぐシャフトが挿してある「センターネック」。
上から見るとシャフトの中心軸よりフェース面が前にでている、オフセットなしと呼ばれるモデルが多く、ボールを左足寄りに置きストレート軌道でストロークするパターです。
オフセットがないことで左へ引っかけづらく、インパクト付近ではフェース面やヘッドの芯を感じやすい特徴があります。ストレート軌道に強い反面、芯を外すとヘッドがブレやすくミスヒットには弱いので、しっかりヒットさせる技術も必要です。
これからセンターシャフトを使ってみたい方は、芯の大きい大型マレットがおすすめです。
ベントネック
ヘッドのヒール側にシャフトが挿さり、シャフトが曲がっている「ベントネック」。
上から見るとシャフトの中心軸よりフェース面が右になり、ややオフセットが入ることで、センターネックよりもボールのつかまりが良いモデル。
モデルによりシャフトの曲がりが違うので、オフセットの入り方は変わりますが、ボールの位置はやや左足寄りに置き、右へのプッシュアウトを抑えたい方に向いています。
ストレート軌道やストレートに近いストロークをしたい方で、オートマチックな感覚で打ちたい方にもおすすめです。
※フェースバランスの一例です。
フェースバランスのパターはボーゼルなしが多い
フェースバランスのパターは、ボーゼルがないモデルが多くなります。
ボーゼルがないモデルは低重心モデルが多く、ヘッドの芯が低くなることで、ヘッドをレベルに振りながらアッパー軌道でボールを捕えると、ボールが転がりやすくなります。
※例外のパターもあります。
トゥヒールバランスのパター
フェースのトゥ(先端)側が下がり、フェース面が斜めを向くパターが「トゥヒールバランス」のパター。
テークバックからフォローにかけてフェースの開閉がしやすく、緩やかな弧を描くようなイン・トウ・インの軌道でストロークしたい方に向いています。
トゥヒールバランスの主なネック形状
トゥヒールバランスのネック形状は、フェースの開閉やヘッドの操作性をだしやすい「スラントネック」、「クランクネック」、「ショートネック」が、多くなっています。
スラントネック
ヒール側にシャフトが刺さることで、ヘッドの芯までの重心距離が長く、フェースの開閉をコントロールしやすい「スラントネック」は、L字マレットとも呼ばれています。
上から見るとネック部分から少し曲がり、フェース面がシャフトの半分だけ後方にあるハーフシャフトオフセットは、ボールを体のセンター付近にセットします。
フェースの開閉とインパクトの強弱で、アプローチ感覚のパッティングで距離を打ちたい方に向き、引っかけにくくロングパットを合わせやすいモデル。
クランクネック
ヘッドの真ん中よりも少し後ろにシャフトが刺さり、上から見るとシャフトの中心軸よりフェース面がいちばん右にある、フルシャフトオフセットと呼ばれる「クランクネック」
全体のパターの中でも重心がニュートラルなので、ストレート軌道やイン・トウ・インの軌道などストロークタイプを選ばず、イン・トウ・インの軌道で打つ時は、ボールを体のセンター付近にセットして、ストロークの幅で距離を打ち分けたい方に向き、右へのプッシュアウトを抑えやすい特徴があります。
画像のような、ブレードタイプと呼ばれるパターが多く発売されています。
ショートネック
ネックが短く、クランクネックよりも重心距離が少し長くなり、イン・トウ・インの軌道に向いた「ショートネック」は、ショートスラントネックとも呼ばれ、最近のPGAツアーの選手が使用してるのをよく見かけるネックです。
上から見るとシャフトの中心軸とフェース面がそろったモデルや、オフセットがやや入るモデルもあり、オフセットの度合いでボール位置を決めます。
例えば画像のような大型マレットパターは、ストレート軌道で打つイメージですが、「ショートネック」になることで、少しフェースの開閉を入れながら、イン・トウ・インの軌道で打ちたい方に合いやすく、左へ引っかけにくい特徴があります。
大型マレットで操作性を残したい方、ブレードタイプが好みの方はボールを左足よりにセットして、ストロークの幅で距離感を打ちたい方におすすめです。
※トゥヒールバランスの一例です。
・スコッティキャメロンのニューポート2などはトゥヒールバランスになります。
また、最近はあまり見ませんが、大きめの円軌道を描きながらフェースの開閉で打つ「トゥバランス」があります。
トゥヒールバランスのパターはボーゼルありが多い
トゥヒールバランスのパターは、ボーゼルがあるモデルが多くあります。
ボーゼルがあるパターは標準的な重心になり、ボーゼルなしと比べるとヘッドの芯が高くなり、インパクトの打点が高い方や、ヘッドをやや上から入れる方に向いています。
ボーゼルの高さで、インパクトの打点を見ておくのがおすすめです。
※例外のパターもあります。
自分に合うネックとオフセット選びをチェック!
さまざまなネック形状があるので、特徴が分かるまではややこしい感じもありますが、ここをおさえると、自分に合うパターが見つけやすくなります。
この辺を、もう少しイメージがでるように3つのパターンでご紹介。
パターン1 センターネック/オフセットなし
・よりストレートに = センターネック
・左のミスをおさえたい = センターネック
・ボールを左足寄りにセット = オフセットなし
・フェース面を感じたい = オフセットなし
ストレート軌道で左のミスをおさえたい方は「センターネック/オフセットなし」のパターがおすすめです。
また、同じ軌道のイメージで、センターネックやクランクネックがしっくりこない方で、右へのミスをおさえるなら「ベントネック/ハーフシャフトオフセット」がおすすめです。
パターン2 スラントネック/ハーフシャフトオフセット
・よりフェースの開閉を多く = スラントネック
・左へのミスをおさえたい = スラントネック
・ボールを両足の真ん中~やや左にセット = ハーフシャフトオフセット
しっかりフェースの開閉をおこなうイン・トウ・イン軌道で、左のミスをおさえたい方は「スラントネック/ハーフシャフトオフセット」のパターがおすすめです。
パターン3 クランクネック/フルシャフトオフセット
・ストレート軌道もOK = クランクネック
・ヘッドの操作がよい = クランクネック
・右へのミスをおさえたい = クランクネック
・ボールを両足の真ん中にセットしたい = フルシャフトオフセット
センターネックとスラントネックの中間ぐらいの重心距離で、基本はイン・トウ・イン軌道ですが、状況によりストレート軌道も打てる「クランクネック/フルシャフトオフセット」
ざっくり3つのパターンでご紹介しましたが、「打ち方やボールを置くポジション、どんなミスを防ぎたいか?」を、いろいろとイメージしながらパター選びを楽しむのも、おもしろさのひとつです。
なんとなく、自分に合う『フェースバランス』や『ネック形状』が絞れてきましたら、次は「距離感」です。
自分の距離感と『打感』がマッチしてるか?
『打感』は自分にしか分からない感覚ですが、パターに合わせるのではなく、自分の感覚に合うパター(打った強さと距離感が合っているか?)を探すことが最重要ポイントです。
オデッセイ ホワイト・ホット RX
モデル
全7種
ヘッド素材
ステンレススチール
インサート
WHITE HOT RX インサート
打感
超ソフト
打球音
低め
オデッセイのパターで現在打感がいちばん柔らかい「ホワイト・ホット RX」シリーズ。
内部はソフトなウレタン、外部はややしっかりとしたウレタンを組み合わせた2重構造インサート。
究極のソフトフィールと呼ばれ、普段オーバーしやすい人は硬めのボールで転がりを抑えられます。
オデッセイ ホワイト・ホット プロ 2.0
モデル
全6種
ヘッド素材
ステンレススチール
インサート
WHITE HOT インサート
打感
ソフト
打球音
低め
日本ツアーで人気のWHITE HOT インサート。
歴代シリーズでは2ballをはじめ名器がおおく、2016年価格がリーズナブルになり発売。絶妙なソフトフィーリングとボールの転がりならWHITE HOT。
オデッセイ ワークス ヴァーサ
モデル
全22種
ヘッド素材
ステンレススチール
インサート
FUSION RXインサート
打感
ややソフト
打球音
やや低め
WHITE HOT インサートに網目状のステンレススチールを装着したFUSION RXインサート。
打ち出し角とスピンを最適化させ早く順回転に変わり、芝目の影響を最小限にする最高テクノロジー製品 WORKS。
アライメントデザインの種類が多いのも特徴です。
オデッセイ トゥ アップ
モデル
全2種
ヘッド素材
ステンレススチール
インサート
ノンインサート
打感
ややソリッド
打球音
やや高め
しっかりした打感と高めの打音のノンインサート。
フェース面はツアーで実績のあるメタル-Xフェースを採用し、繊細なタッチと正しい順回転を実現させます。
オデッセイ ミルド・コレクション RSX
モデル
全3種
ヘッド素材
軟鉄削り出し
インサート
RSXインサート
打感
ソリッド
打球音
高め
2015年発売「ミルド・コレクション SX」ではソリッドな打感と高めの打音で人気がでましたが、限定発売の『ミルド・コレクション RSX』ではさらに、楕円形(オーバル)のテクスチャーを採用し、より安定した打ち出し角とボールの転がりを実現。
今回はオデッセイの「インサート」による打感の違いになりますが、ほとんどのメーカーのパターも、フェースが軟らかくなるほど「打音が低く弾き感が弱い」感覚と、フェースが硬くなるほど「打音が高く弾き感が強い」感覚は共通しています。
さらに、打感はボールとの組み合わせが重要になります。
オデッセイでは『軟らかめのフェースには硬めのボール』、『硬めのフェースには柔らかいボール』を推奨し、この組み合わせが一般的になります。
ミスの症状として、軟らかめのフェースでショートしやすい人は、打ちきれていないので「柔らかいボール」を使い”しっかり打つ”練習をします。
硬めのフェースでオーバーしやすい人は、打ち過ぎる感覚が強いので「硬めのボール」を使い、さらに転がる感覚を強くしながら打ち過ぎない練習をするなど、ボールの硬さを替えながら距離感を微調整してみる方法もあります。
パター選びの”基準”
パターは種類が多いのでデザインや構えやすさ重視で選びがちですが、パターの”特性”が変われば打ち方も違うので、自分の打ち方に合うパターの”特性”をざっくりおさえ、その中から、構えやすいデザインや打感や距離感で選ぶと、良いパターに出会えるかも?しれません。
・ボール位置『ネック形状』と「オフセット」の関係。
・距離感を決める『打感』や「打音」に、ボールとの関係性。
そして、パッティングを極めている人は、形から入らないツアープロです。
中でも「名手」と呼ばれる人はどんなパターを使用してるか?気になるところです。
2015年国内男子平均パット数1位 谷口 徹
ホワイトホット #5の中でも『H』の文字に・・(ドット)の刻印がある2ドットモデルは生産数が少なく、ヘッドの座りがさらによいレアモデル。
谷口 徹
GDO
2015平均パット数
1.7295
使用パター
オデッセイ ホワイトホット #5
使用ボール
タイトリスト PRO V1X(2015年)
国内男子でパットの名手と言えば谷口 徹選手。2001年発売オデッセイ ホワイトホット #5を使用。
重心は低くソフトなフェースに、やや軟らかめのボール「タイトリスト PRO V1X」で、軟+やや軟の組み合わせ。
真っ直ぐにストロークしやすいヘッドでしっかりと打っています。
オデッセイ ホワイトホット #5
※生産完了モデルのため中古のみ。
※中古市場は常に変動しています。
※市場価格は¥3.000~とコスパもよいです。
2015年国内女子平均パット数1位 イ・ボミ
重心は高めでイン・トウ・インにストロークするヘッド。
イ・ボミ
GDO
2015平均パット数
1.7589
使用パター
オデッセイ ホワイト・ライズ iX #1SH
使用ボール
ダンロップ スリクソン Z-STAR(2015年)
イ・ボミ選手の使用パターは2012年発売オデッセイ ホワイト・ライズ iX #1SHを使用。
ヘッドは遮光性の高いブラック仕上げに太い2本線が入ったアライメントが正確なアドレスとストロークを向上させた人気モデル。
軟らかめの「WHITE HOT インサート」とボールも軟らかい「スリクソン Z-STAR」で、軟+軟の組み合わせ。
オデッセイ ホワイト・ライズ
※生産完了モデルのため中古のみ。
※中古市場は常に変動しています。
米国女子ツアー2016年平均パット数1位 リディア・コー
重心は低めで真っ直ぐストロークするヘッドに、軟らかめの「WHITE HOT インサート」と4ピースのソフトフィーリング「CHROME SOFT」のボールを組み合わせています。
リディア・コー
GDO
2016平均パット数
1.731
使用パター
オデッセイ VERSA 90 2-Ball WHITE ホリゾンタルデザイン
使用ボール
キャロウェイ CHROME SOFT(2015年)
リディア・コー選手の使用パターは2013年発売オデッセイ ヴァーサ 2-Ball ホワイトを使用。
ヴァーサ 2-Ballの前はヴァーサ 330Mを使用。ヴァーサシリーズは正確にセットアップすることを追求した「ハイコントラストアライメント」を採用し、ブラックは集中力、ホワイトはヘッドを大きく見せる安心感があります。さらに2-Ballアライメントでより正確さを求めらるデザイン。
オデッセイ ヴァーサ
※生産完了モデルのため中古のみ。
※中古市場は常に変動しています。
米国男子ツアー2016年平均パット数1位 ジョーダン・スピース
ボールは「タイトリスト PRO V1X」を使用。 こちらは、1stメジャー・チャンピオンシップと単一トーナメント26バーディを記念して、スコッティキャメロンから ”Inspired by Jordan Spieth”として、全世界1500本限定のジョーダン・スピースのインスパイア・モデル パター。
ジョーダン・スピース
GDO
2016平均パット数
1.694
使用パター
スコッティキャメロン 009プロトタイプ
使用ボール
タイトリスト PRO V1X
現在、世界NO1パットの名手ジョーダン・スピース選手は、高校生の頃から愛用しているスコッティキャメロン009プロトタイプ。柔らかな曲線に仕上げはオイルカンフィニシュを施したジョーダン・スピース選手の009は、やや平型形状の構えやすさと軟鉄の打感が特徴。
2015 INSPIRED BY JORDAN SPIETH
ジョーダン・スピース選手と全く同じパターは市販されていませんが、ヘッドタイプ009の同型パターは発売されています。
スコッティキャメロン 009
※在庫があると即完売する人気の009パター。
※プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なることがあります。
どのクラブよりも使用頻度が多い『パター』
『パター』は、ゴルフクラブの中でも、一番使用頻度の多いクラブです。
がんばって練習してもコースに出ると合わなくなる人、練習してないのにやたらパット上手な人など、「距離感」や「自信」の違いもありますが、まずは自分に合っている『パター』を使用しているかどうか?ここを見極めてから「距離感」と「自信」を身につける方が”パットマスター”への近道かもしれません。