2019年からは、ゴルフのルールが大幅に改正されます。
改正点の大きな特徴として、複雑なルールを簡素化させ、プレー時間の短縮と、これからゴルフを始める方も理解しやすくする事で、ゴルフ人口の拡大につなげる狙いがあるようです。
今回のルール改正はかなり革新的で、今後アマゴルファーさんがプライベートなゴルフをより楽しむために、最低限おさせておきたい2019年ルール改正の要所を、JGA(日本ゴルフ協会)のホームページから分かりやすく、”サクッ”とご紹介させていただきます。
※競技などは、各大会のローカルルールをご確認ください。
※マッチプレー(各ホールごとの勝敗を競う)や、ストロークプレー(全ホールの合計打数)では、ルールが異なります。
※分かりやすく表記するために、ルールブックの表記とは文章が異なります。
これまでにないゴルフルール改正
世界のゴルフルールを統括しているR&A(英国ゴルフ協会)と、USGA(全米ゴルフ協会)は、2017年3月1日に「ゴルフ規則を近代化するための変更案」を発表。
ゴルフルールの改正は、4年に1度オリンピックの年に変更され、前回のルール改正は2016年。
本来なら、2020年の東京オリンピックの年に施行されますが、今回の変更は1984年以降に行われる、初めての根本的なルール見直しとなり、2020年東京オリンピックを見据え、新ルールは2019年1月1日から施行されます。
コースの名称が一部変更
・バンカー
パッティンググリーン
・ティーインググラウンド → ティーイングエリア
・ウォーターハザード → ペナルティエリア
・スルーザグリーン → ジェネラルエリア
ゴルフコースのエリア名は、3ヶ所変更されます。
これまでと大きく呼び方が変更されるのは、ウォーターハザードという用語が無くなり「ペナルティエリア」に変わります。
ティーイングエリアの主なルール
ティーイングエリアの範囲
ティーイングエリアでは、ティーを挿しても挿さなくてもボールを打つことができます。
A,2打罰。
ティーイングエリアの外からプレーされた球はインプレーにはなりません。
実際のストロークはカウントされないので、次は3打目です。ティーイングエリアの仮想線上にボールがあれば、スタンスがティーイングエリアから出ていても無罰です。
【2019新ルール】
ティーショットに限らず、全てのプレーで「レディーゴルフ(準備ができたプレーヤーから打つ)」が推奨されます。
基本的には従来通り前ホールのグロススコアの良い人からティーショットを打ち、2打目以降は遠方先打になります。本来打つべき人がまだ打つ準備ができてない時は、打つ準備ができて打つ意思のある人が先に打てます。
周りの安全を必ず確認して、同伴者の了解を得るのがマナーです。
OBや紛失球 新ローカルルール
ティーイングエリアから、ホールの1打目となるティーショットを打ちますが、OBや紛失球などさまざまなトラブルもあります。
OBの処置:ティーショットで球がOB方向へ
A、1打罰を加えて、3打目として暫定球を打つ。
プレーの進行が遅れてる時や、暫定球を打ってない時は、新しいローカルルールを適用できます。
【2019新ルール】
トーナメントやアマチュア競技では採用されませんが、プライベートなラウンドでティーショットがOBをした場合、2019新ルールからは2打罰を加えて4打目は以下の対処がとれます。
1、球がOBの境界線を横切ったと推定されるA地点を決める。
2、ホールに近づかず、最も近いフェアウェイB地点を見つける。
3、A地点B地点を結んだ中の範囲と、B地点から外側に2クラブレングス以内の範囲にドロップします。
コースのローカルルールとして、ティーショットがOBの時は日本特有の「前進4打」があるコースも多くあります。
プライベートなゴルフでは、プレーを円滑に進めるためにもこの辺はコースのローカルルールを優先しながら、「前進4打がないホールは2019ルールを適応」など、仲間内で決めておく方がよいでしょう。
OBの処置:2打目以降で球がOB方向へ
これまでは、2打目以降にOBをした時は元の場所から打ち直しでしたが、2019年からは新しいローカルルールが採用されます。
2打目以降にOBをした場合も、ティーショットをOBした時と同じように2つの処置がとれます。
A、1打罰を加えて、直前のストロークが行われた場所から暫定球を打つ。
プレーの進行が遅れてる時や、暫定球を打ってない時は、新しいローカルルールを適用できます。
【2019新ルール】
プライベートなラウンドで、2打目以降でOBをした場合、2019新ルールからは、2打罰を加え以下の対処がとれます。
1、球がOBの境界線を横切ったと推定されるA地点を決める。
2、ホールに近づかず、最も近いフェアウェイB地点を見つける。
3、A地点B地点を結んだ中の範囲と、B地点から外側に2クラブレングス以内の範囲にドロップします。
球が見つからない!?球を捜す時間は3分
【2019新ルール】
球を捜す時間は、現在の5分間から3分間に短縮されます。
【2019新ルール】
ヤブの中などで、球を偶然に動かしても無罰です。元の箇所にその球をリプレースしましょう。
また、自分の球かどうか?確認のために拾い上げること(球を回すことを含む)もできますが、球の箇所にマークしてから拾い上げます。球を確認するため必要以上に拭くのはNGです。マーク忘れや、必要以上に球を拭いた場合は1打罰になります。
自分のボールの行方が気になり、これから打つ人の前方へ出ることやどんどんカートを先に進める事、ビギナーの人に走ってボールを捜しに行かせる事は思わぬ打球事故につながります。
自分のボールの行方も気になりますが、極力、順番に一緒に探し合うことがマナーです。
安全が確保されれば「準備ができたプレーヤーから打つ」レディーゴルフがストロークプレーで肯定的に奨励されています。
あまりにも、ボールを捜索してる人と自分のボール位置が遠い場合、安全を確認してから先に打ち、その後、同伴者のボールを探しに行くなど状況を判断しながら行動しましょう。
結局、球は見つからなかった。紛失球の処置
【2019新ルール】
ボールを紛失した時は、2019新ルールから2打罰を加え以下の対処をとります。
A、球が紛失されたと推定されるA地点を決める。
B、ホールに近づかず、最も近いフェアウェイをB地点を決める。
C、ホールからA地点を通る直線とその線の外側2クラブレングス、B地点を通る直線とその外側の2クラブレングスまでの、ジェネラルエリアすべてがドロップエリアになります。A地点とB地点を結んだ中の範囲と、A地点とB地点から外側に2クラブレングス以内の範囲にドロップします。
ルール上のクラブレングスとは、ラウンド中にプレーヤーが持っている14本(またはそれ以下)のクラブのうち、パター以外で最も長いクラブの長さになります。救済処置によって短いクラブで計測はできません。
プライベートなラウンドではきっちり2クラブレングスで計測する必要はないと思いますが、ドロップの方法が変更になっています。
ドロップの方法が変更
【2019新ルール】
1、ドロップはプレーヤー自身がしなければなりません。
2、ドロップはヒザの高さから、自分や用具に振れないように真下にドロップします。
3、球は救済エリアにドロップしなければなりません。
ドロップするとき、その救済エリアの中、または外に立つことができます。
間違えた方法でドロップをして、救済エリアから打ってしまった場合は1打罰。救済エリアの外からのプレーや、ドロップしなければならないのに、プレース(ボールを置いた)した場合は2打罰になります。
再ドロップの要件
ペナルティーエリア
ペナルティーエリアは水域でない区域にも設定されるので、球を捜すことが困難で見つかったとしてもプレーすることができない、ブッシュや崖などの区域もペナルティーエリアとして設定されます。
赤杭か赤線で示される「レッド・ペナルティーエリア(旧:ラテラル・ウォーターハザード)」と、黄抗か黄色線で示される「イエロー・ペナルティーエリア(旧:ウォーターハザード)」に分かれます。
レッド・ペナルティーエリア
A、
選択1、打った地点から1打罰で打ち直しができます。
選択2、ペナルティーエリア内の球を、そのまま打てれば無罰で打てます。
【2019新ルール】
選択3、ペナルティーエリア内で球が見つかり、「ちょっと打つのが厳しいかな?」という場合は、球が境界線を横切った地点とホールを結ぶ線上に、左右1クラブレングス以内にドロップして1打罰で打てます。
選択4、池ポチャなど、ペナルティーエリア内に球があることが「分かっている、または事実上確実」の場合、境界線を最後に横切った地点から、2クラブレングス以内で、ホールに近づかないペナルティーエリアの外側にドロップして1打罰で打てます。
※これまでは、対岸からの処置もできましたが、2019年の新ローカルルールでは、対岸地点に救済を受けることはできません。
プライベートなラウンドでは、球がレッド・ペナルティーエリアの区域に入った場合、選択1の打ち直しよりも、同伴者や全体のプレーの進行を進めるために、選択2~4の中から状況に応じた対処をするのが良いと思います。
コースのローカルルールによっては、黄抗か黄色線で示される「イエロー・ペナルティーエリア(旧:ウォーターハザード)」に球が入った場合、選択4の処置はできませんので注意が必要です。
ペナルティーエリア規則の緩和
クラブを地面につけたり、ルースインペディメント(小石や落ち葉など地面に固定されていない障害物)を取りのぞいても無罰です。
その方法(例えば、手、足、クラブ、その他の用具を使用する)も問われませんが、ルースインペディメントを取り除いたことが自分の球を動かす原因となった場合は1打罰になり元の位置にリプレースします。
バンカーからの救済を受けたい時の主なルール
2019新ルールからは、バンカー内でルースインペディメントと動かせる障害物を取り除くこともできますが、クラブをソールすると2打罰になります。
バンカー内の球に対するアンプレヤブルの新しい選択
A、通常の救済(1罰打)
選択1、プレーした元の位置に戻る。
選択2、ホールと球を結んだ延長線上のバンカー内で、1クラブレングス以内にドロップ。
【2019新ルール】追加の救済の選択肢(2罰打)
選択3、ホールを結ぶ線上で、そのバンカー外の後方に基点を決め、その基点から1クラブレングス以内で、ホールに近づかない救済エリアに球をドロップする処置が追加。
バンカーに球が入り打てない状況の時は、これまで通り1打罰で通常の救済が受けられます。プレーの進行を遅らせないためにも、選択1よりは、選択2の救済を受ける方が良いかと思います。
パッティンググリーンの主な新ルール
各パッティンググリーンのホールには旗竿(ピン)があり、他のコースエリアとは違った特定の規則が適用されます。
パッティンググリーン上の損傷箇所
パッティンググリーンのプレーの線に触れる
パッティンググリーン上で球やボールマーカーが動いた
【2019新ルール】
1、偶然球を動かしてしまっても無罰です。
・球を元の箇所にリプレース。
2、自然の力によって球が動いても無罰です。
・球を拾い上げてリプレースした後であれば、元の場所にリプレースできます。
・拾い上げてなかった時は、動いた場所からあるががままにプレーします。
旗竿(ピン)を立てたままプレーできます
プレーヤーとそのキャディーは、プレーヤーの動いている球が止まるかもしれない場所に、影響を及ぼすように旗竿を故意に動かしたり、取り除くことはできません。
そうした場合、そのプレーヤーは2打罰になるので注意が必要です。
これまで通り誰かを旗竿に付き添わせ、球がプレーされた後で旗竿を取り除いてもらうことも可能です。
砲台グリーンなどは、旗竿が立っているとグリーンが空いていると勘違いをして、後続組が打ちこんでくる可能性もあります。グリーン上の組は後続の進行状況などもチェックしておきたいところです。
その他、2019新ルールの主な変更点
地面に食い込んだ球
ストロークした球が偶然に何かに当たる
ストローク中に複数回球を打つ
球の取り替え
距離計測機
距離計測機器で計測できるのは2点間の距離だけで、高低差その他のプレーに影響する状況を計測することはできません。いろいろな機能が搭載した計測機でも、2点間の距離を計測する機能以外のものを使用しなければ違反とはなりません。
プレーのスピード化と最大スコア
2019年新ルールは、ゴルフゲームをより分かりやすく簡単にプレーすることで、これまで複雑だったルールの簡素化とプレーのスピードアップを図るのも大きな目的です。
レディーゴルフ(安全を確認して、準備ができたプレーヤーから打つ)や、ボールの捜索時間に加え、ストロークの時間もスピード化が推奨されています。
ストロークは40秒以内が推奨
とくに、プライベートなゴルフのスピードアップは、パッティンググリーンで発揮したいところです。
2番目3番目に打つ人は、打順が来てから状況やラインを読まず、打順が来たらすぐアドレスに入れるよう前もって準備したり、先にカップインした人は旗竿を持ってあげたり、クラブやパターカバーの置き忘れがないか?のチェックをお互いにしていきましょう。
全員がテンポよくパッティンググリーンを終え、スムーズにホールアウトするだけでも、各ホール1分は短縮できるのでトータル時間でみれば、かなりを時間を縮められます。
最大スコアの設定
スマートなプレーをするのに役立つラウンドアイテム
ゴルフボールケース
グリーンフォーク
距離計測機器
※距離計測機器の使用が禁止の競技もございます。詳細は各競技の委員会にお問い合わせください。
ゴルフをより分かりやすく、簡単、迅速にプレー
2019年新ルール改正により、深刻な「ゴルフ離れ」に歯止めをかける狙いは、ゴルフ関係者の願いでもあります。特に日本は、ルール変更だけでは根本的な改善にはつながらない部分もあり、むずかしい面もあるかと思われます。
ですが、経験豊富なアマゴルファーさん方が、身近なビギナーアマゴルファーさんへ「ゴルフの楽しさ」を伝えていける”ゴル友”を、一人一人が大事にしていくことで、ルール改正以上のゴルフ人口減少へ歯止めをかけられます。
第1回日本オープンをアマチュアで優勝した、赤星六郎の残した名言で「コースからスコアだけを持ち帰る者とは友人になれない」という言葉があります。
受け止め方はさまざまですが、自己追求のゴルフではなく、迅速にプレーをしながらも周りに気が向けられるゴルフをしてみると、周囲の状況も見えて、意外と良い結果がついてくるかもしれませんね。
参照:JGA
2019年1月1日現在のルールです。